(速報) 2013年度秋 英検1級問題分析&攻略法

(速報) 2013年度秋 英検1級問題分析&攻略法
総評
今回の英検1級は、語彙問題はいつもよりも少し簡単で、読解問題はやや難しく、エッセイライティング問題とリスニング問題は普通レベルなので、合格点は79点前後だと思われます。普段から真面目にシステマチックにバランスよくトレーニングを続けていれば、語彙問題は20~22点、読解問題は18~20点、エッセイライティング問題は20~22点、リスニング問題は25~27点を取ることは不可能ではありません。それでは皆さん、今から問題分析と攻略法を述べて行きますので、成功と自分を信じ、どんなことがあっても最後まで頑張りましょう!
Let’ enjoy the process!(陽は必ず昇る)    Ichay Ueda(植田一三)

語彙問題分析と攻略法
語彙問題は、コロケーションの知識によって迷う時間が減り、全文を読まなくても解ける比率が上がって行き、レベル6:15分、レベル5:12.5分、レベル4:10分、レベル3:7.5分、レベル2:5分、レベル1:2.5分と解答時間が短くなって行きます。アクエアリーズの受講者にはレベル3で満点近くのスコアの人も多く、語彙力の弱い人は効果的なボキャビルによってレベル4で何度受けても20点以上取れるように頑張りましょう。それによって当然、読解力もUPして行くのでボキャビルは非常に重要です。

英検1級に出題される単語は3つのレベルに分けることができ、今回出題された語彙を、当アクエアリーズ出版の「英検1級対策ボキャビルテキスト」で調べてみると、解答となる問題のカバー率は21問中17問の81%でした。

レベル1 5000~8000語水準(基礎語彙) 主に準1級レベル・・・3個出題(14%)
negligent(4回・準1級語彙Top100), deduce(2回・ナシ), illegible(3回・準1級語彙Top700)

レベル2 8000~12000語水準(必須語彙) 主に1級レベル・・・8個出題(38%)
retrospect(2回・準1級語彙Top100), extrovert (2回・1級語彙Top1000) , clout(5回・1級語彙Top100)
sleek(3回・1級語彙Top1000), interim(初回・準1級語彙Top1000) , override(2回・ナシ)
posthumous(2回・1級語彙Top800), turmoil(1回・ナシ)

レベル3 12000語以上(完成語彙) 米国の大学院入試(GRE)レベル・・・6個出題(29%)
animosity(5回・1級語彙Top700), respite(5回・1級語彙Top900), impassive(3回・ナシ)
blatantly(7回・1級語彙Top100), eschew(2回・1級語彙Top600), infuse(2回・1級語彙Top700)

※1 英単語の後にある( 回)の表示は、過去25年間の英検準1級語彙問題に選択肢として出題された回数。
※2 1級語彙Top・準1級語彙Topの表示は当アクエアリーズ校の準1級・1級で覚えるべき1000の単語を若い順番のTop100から最後のTop1000まで、100語ずつ10段階に分けた単語のレベル。

カバーできなかった4つの単語は「英検1級・準1級頻度別語彙リストTop 1000(+補足語彙)」で3つカバーされました。
・omit(初回・英検2級語彙) 高校レベルの単語で、「省略する」の意味などを持つ。例 omit saying grace before eating(食前の祈りを省略する)
・referendum(2回・ナシ) 時事英語で、「国民投票、住民投票」の意味がある。hold a referendum(住民投票をする)と、フレーズで覚えておこう。
・deadlock(2回・準1級語彙補足) 時事英語で「(交渉の)行き詰まり」の意味を持つ。reach a deadlock / at a deadlock(行き詰まる), break a deadlock(局面を打開する)の形で覚えておこう。
・mar(2回・1級語彙Top400) 時事英語で、「傷つける、台無しになる」の意味を持つ。mar the debut(デビューが台無しになる)などのフレーズで覚えておこう。

また、句動詞は、アクエアリーズ出版の「句動詞1000」のテキストにおける解答のカバー率は4問中3問の75%で、解答を含めた句動詞の選択肢のカバー率16問中10問と63%となりました。さらに、句動詞の研究を進め、新しく作成した「準1級・1級句動詞頻度別リストTop 600(準1最重要100 / 準1重要100 /1級最重要200 /1級重要200)では、dole out(1級最重要200), jockey for(1級最重要200)の2つの50%をカバーしました。

語彙問題は、NC(no-context型でコロケーションだけで解ける問題)、SC(semi-context型でコロケーションと空所の数語の文脈で解ける問題)、FC(full-context型でほとんど全文を読まないと解けない問題)の3つに分かれますが、英検1級の語彙問題の場合、意味・用法・コロケーションの限られたハイレベルな語彙が多いので、運用語彙の豊富な人なら、ほとんど文脈なしでコロケーションで解けるNC、SCタイプの問題の割合が高くなります。

特に、英検1級の語彙問題の選択肢はコロケーション(語と語の自然な組み合わせ)を利用すれば簡単に解くことができますので、それを交えながら解説していきましょう。

1番は、the movie would be too graphic and violent to be viewed by children(映画は非常に露骨で暴力的シーンがあるため子供には見せられない)より、そのcertain scenesはwere omitted(省かれる(べき))と文脈で解ける「10秒問題」。
2番は、criminally(刑事上)からnegligent(ネグレクトした、怠慢な)とコロケーションで解ける「3秒問題」。あるいはfor keeping her dogs in tiny cages with no water(犬たちに水も与えず小さな檻に入れたままで)から、negligent(ネグレクトした、(するべき)世話をしていない)と文脈で解ける「5秒問題」。
3番は、detectiveとfromとの結びつきが非常に強いdeduced(推論する)を呼び出す、コロケーションで解ける「5秒問題」。
4番は、Although ~rivalsの文脈とbetween their coachesから animosity(敵意、反目)をコロケーションで解く「10秒問題」。
5番は、inからretrospect(回相、追憶)と、定型フレーズ[イディオム]と認識して解ける「3秒問題」。
6番は、the new principal spent more time talking casually with students ~(新しい校長先生は生徒と気さくに話す時間を多く過ごした)から、his predecessor(彼の前任者)よりはextrovert(外向[社交]的な人)と判断できる、長い文脈で解く「15秒問題」。
7番は、use(行使する)your ~with~のコロケーションでclout(影響力)がわかる「5秒問題」。
8番は、語彙力が豊富であればa new lookのコロケーションで解ける「5秒問題」。a higher-class clientele to match(お店に引き合う上層客)より、the caféはsleek(しゃれた)な外観になったと判断できる文脈で解ける。
9番は、主語がthe governmentで、動詞hold(開く)との結びきつきが非常に強いreferendum(住民投票)はコロケーションで解ける「3秒問題」。
10番は、Ramón took a vacation.から、from his jobを respite(小休止)と文脈で解ける「5秒問題」。
11番は、常識的には、measure(措置)からinterim(仮の、暫定の)とコロケーションで解ける「3秒問題」。
12番は、Although the company vice president had announced that employees would receive bonuses,(副社長は従業員のボーナスを公表していたけれども)より、the presidentはthe decision(その決定)をoverrode(覆した)と文脈で解ける「10秒問題」。
13番は、Rather than becoming upset ~(動揺するよりもむしろ~)から、remained impassive(感情を外に出さない)と文脈で解ける「10秒問題」。
14番は、disregarding school rules(校則を無視すること)より、blatantly(ずうずうしく)とコロケーションで解ける「3秒問題」。
15番は、語彙が豊富であればコロケーションで解ける「3秒問題」だが、The firefighter who died in the blaze(火事で亡くなった消防士)より、was awarded a posthumous medal(死後に追贈されるメダルが与えられた)と文脈で解くと「10秒問題」。
16番は、handwriting(筆跡)から、illegible(字が読みにくい、判読しがたい)とコロケーションで解ける「3秒問題」。
17番は、Despite the economy being in ( X ) over the last few yearsのeconomyより、economic turmoil(経済の混乱)を連想してコロケーションで解ける「3秒問題」。
18番は、reachとの結びつきが強い deadlock((交渉の)行き詰まり)を呼び出す、コロケーションで解ける「3秒問題」。念のために文章全体[文脈]で確認すると「10秒問題」となる。
19番は、all violence(あらゆる暴力)より、eschew(避ける)とコロケーションで解ける「3秒問題」。
20番は、his team with enthusiasm(彼のチームに情熱を)から 、infuse(吹き込む)とコロケーションで解ける「3秒問題」。
21番は、the partyはwas marred(台無しになった)とコロケーションで解く「3秒問題」だが、when Mr. Smith and his daughter had a huge fight over~(スミスさんと娘の~をめぐる大ゲンカがあった)の文脈で解く「10秒問題」
22番は、Initially, the CEO was opposed to renting out some of the company’s office space,(当初、CEOは会社のオフィススペースの貸出しに反対していた)、そしてafter realizing how much income it would create(貸出しにどれぐらいの収入になるかわかった後)から、he came around(CEOは(反対の)態度を変えて、(オフィスの貸出しに)同意した)と文脈で解く「10秒問題」。このcome aroundは会話やリスニング問題で非常によく用いられる必須表現なので是非運用語彙にしておこう、
23番は、one cookie to each of her students(各々の生徒にクッキー1枚)から、doled out+物+to 人と定型の語法と認識して解ける「3秒問題」。
24番は、my attention(私の注目[注意])より、jockeying for(競い合って得ようとする)とコロケーションで解ける「3秒問題」。念のため、Have you decided who’ll be promoted this year?(今年誰を昇進させるのか決めましたか?)などの文章[文脈]で確認すると「10秒問題」となる。
25番は、AのセリフのDid you enjoy the concert last night?(昨夜のコンサートは楽しめましたか?)とBのセリフのNot really.(あまり楽しめなかった)から、ネガティブな選択肢に捉えてI was dragged into going by my wife(妻に無理やり行かされた)と文脈で解く「10秒問題」だが、選択肢の中で語法的に使えて意味が通じるのは be dragged into ~(引っ張られて~させられる)という点から見れば「3秒問題」とも言える。

語彙問題は、読解、エッセイ、リスニング問題選択肢の先読みに十分に時間をさけるようにできるだけ早く解いて欲しいものです。絶対に10分以上はかけないように語彙力、速読力を鍛えておきましょう。

読解問題分析と攻略法
全体的に前回よりもやや難しく、特に穴埋め問題の27と31、内容一致の37、38、41は答えがわかりにくく間違った人が非常に多いようです。よって26点満点中、最低でも18点、できれば20点は取って欲しいものです。トピックは「知性と遺伝子」、「免疫注射」、「GMO」、「恐竜」、「リンカーンと南北戦争」と、最後以外はサイエンスばかりで、サイエンスの苦手な人は読みにくかったかもしれません。

穴埋め問題分析と攻略法
穴埋め問題の攻略法はとにかくポジネガの流れを素早くつかむことです。The Decent of Manの26は、4行目のthisが「現代人の知性が狩猟時代の原住民より劣っている」とわかれば簡単に解けます。27は難問で、人間の知性に関する論議で、「人間の生物学的特徴と遺伝子との関係は複雑なので突然変異など大した影響を与えないという理論」に対する意見を出した内容を表す選択肢を選びます。すると「突然変異は大きな影響を与え、知性は5千の遺伝子とかかわりあって突然変異も当然起こる→変動しやすく不安定」という流れから、1、2、3は論外で、fragile(=weak or uncertain, and likely to become worse under pressure)を含んだ4が正解だと分かります。28はその後の文脈(2重否定を使って分かりにくいですが「せっかくネガティブな突然変異を克服して進化した知性も、環境を支配しぬるま湯につかっているとからまた元の木阿弥だ」)から解けるでしょう。

U.S. Immunization Programsは、29では穴の後がネガティブなので簡単で、30は、穴の後が「予防注射へのobstacles」を述べているので簡単に解けるでしょう。31は、”herd immunity”がわかれば簡単で、”herd mentality”は「群集心理」のことでみんながやれば自分もする状況で、「予防接種をしない人が(  )は病気は再発しないが」の文脈で、2重否定の1(数が少ない)が正解だと分かります。

内容一致の1つ目Golden Riceは32と33はすこぶる簡単で、34も2,3,4は論外で、monocultureをuniformで言いかえて他をサマリーした1が正解で、これも問題ないでしょう。

2つ目の恐竜の記事は、35はunusual circumstances、more detailed preservationは
本文を概念化サマリーしたものでそれが見抜ければ簡単です。36は「最も小さな種だけが大人になっても羽(plumage)を持っていたが他の種は羽を捨てた」という意見を覆した説の説明部分が答えで、「巨大動物の羽は、羽の激減は巨体が故では無かった」の確かな証拠(irrefutable evidence)となっているという部分を言い換えた1が正解で、これも比較的簡単でしょう。37はしっかりと読解ができず、行間が読めずに1を選んでしまった人が多いようですが、解答部分の、”Everything we find these days shows just how deep in the family tree many characteristics of modern birds go. At this point, it will surprise no one if ~(鳥の進化の過程は奥が深く、恐竜の祖先が鳥であっても不思議ではない)”を言い換えた2が正解である非常にいい問題です。

最後の南北戦争の記事は非常に読みやすいのですが、38が難しく答えが発見できなかった人が多いようです。他の選択肢、特に1と4は論外で、2は一見それらしく見せていますが、代名詞に注意して読むと、「奴隷制を南部の人に規制させる約束を破った」と全然違うことがわかります。結局、第1段落の”Though Lincoln had campaigned on a promise not to pursue abolition(奴隷制度廃止) in the slaveholding states, once he was elected, Southerners grew convinced this was not his true ambition.(リンカーンの奴隷制度維持の公約は嘘であると見抜いた)”の行間を読んで裏返すと、”believed that Lincoln secretly intended to pass legislation that would outlaw the basis of their economic system(奴隷制度廃止の法案を通すつもりだとみなした)”が1番近いことがわかります。時間がなかったりして、頭に血が上るとうっかりと2を選んだりするので、格言は「パッセージは速読し、問題文と選択肢は精読」です。

39は簡単でしょう。他の選択肢は論外で、本文では第4段落の、”Britain viewed the rapidly growing the United States with mistrust, and also regarded U.S. expansionist ambitions as a threat to British territories in North America.~” から4のConcerns about the expansion of U.S. power were an obstacle to Britain taking sides with Lincoln and the Union.(アメリカの拡大への懸念がイギリスが北部との協力の障害となる)が正解になります。

40も簡単で、8段落に書かれています。”Lincoln’s handling of the crisis raised the Union’s stature in the eyes of Britain”を”won British respect”で言い換え、~created the feeling that the United States was prepared to defend itself when necessaryを”was determined in its purpose”で言い換え、but recognized its responsibility to comply with international law.”を”would not ignore its diplomatic obligations”で言い換えた2が正解です。

41は間違った人が多いようですが、解答は9段落の、”This brought the Union’s war aims into alignment with British sympathy for the plight of American slaves(これによって北部の戦争の目的[南北に分離することなく奴隷制度を廃止すること]とイギリスの奴隷解放願望が一致した”を言い換えた、1の”It established a clear association between the North-South conflict and an objective that British had long supported(南北戦争(奴隷解放)とイギリスの奴隷解放の目的が一致した)が正解となります。この選択肢は背景知識で言葉を補わないと分かりにくいですが、3と4は論外で、2はIt raised awareness among the British public of the evils of slaver~”とは本文に書いておらず、もともとイギリスの方が先に奴隷制は残酷とみなして禁止していたのに、”raised awareness”は変だと思わなくてはなりません。

さて皆さんいかがでしたか。このように読解問題は、記事に対する興味と背景知識があれば速読しやすく、話の内容もつかみやすく、選択肢の言いかえも見抜きやすくなります。英検1級はサイエンスと歴史関係の記事が多いので、普段からサイエンティフィックアメリカンを読んだり、ディスカバリーやヒストリーチャネルを見たりしておく必要があります。ちなみに、私の人生での最大の楽しみは、サイエンティフィックアメリカンを一気に10冊ぐらい速読して情報をゲットすることです、タイムやエコノミストは政治記事ばかりで飽きてきますが、サイエンスの新情報は面白くてむさぼり読んでしまいます。ディスカバリーやヒストリーチャネルも、CNNニュースに飽きたらすぐに変えて見てしまいます。ですから恐竜の記事も含めてどれもほとんど読まなくてもわかります。特に大阪で「恐竜展」に行ったので既知情報でした。また南北戦争も、TOEFL対策やリンカーンの映画で知っている情報なので楽勝です。皆さんもそういった読み物を通じて速読できるように普段からトレーニングしましょう。それでは明日に向かって、   Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る)

エッセイライティング問題分析と攻略法

今回のエッセイライティング問題も2次試験必須トピックで、比較的書きやすかったと思いますが、pointsのfinancial costsはやや使いにくかったかもしれません。まず、例によってPointsを見て、即座に賛成か反対のどちらであるかを判断して書きやすいかを選択します。この段階で1分で判断してキーアイデアを構築できる人は、エッセイを10分で、2分の場合は20分で、3分の場合は30分ぐらいで書くことができるでしょう。

financial costsは、Financial costs of juvenile crimes are so high that the same punishment can be justified. In the United States the cost for crimes committed by a typical juvenile delinquent (under 18) was estimated at $80000-$325000. Victim costs were by the far the greatest part of this total. ~としていくか、「大人と同じ刑務所に入れておけば安くつくのが、鑑別所(juvenile classification home)、少年院(reform school)、保護観察(probation)、リハビリテーション(rehabilitation=カウンセリング(psychological counseling) +精神治療(psychiatric treatment))、スクーリング(schooling)などと特別扱いして行くと様々な費用がかかる。」といずれにしてもproになります。

Justiceは、”Justice should be done to hard-core juvenile offenders, who otherwise think they can get away with serious crimes they have committed.”とpro、Mental maturityは、”Minors lack mental maturity(are not mentally mature enough to make sensible judgments on what is right and what is wrong.”とconに使えます。

またPrison lifeは、”Prison life with hardened adult criminals(Putting minors and adult criminals in the same prisons) has a negative influence on minors(pervert young people’s mind), making them more likely to commit crimes in the future. “のようにconに使えます。そしてPublic safetyは、”Imprisoning dangerous juvenile criminals can protect public safety. “のようにpro、Schoolingは、mental maturityとも合体しやすく、”Minors, who lack mental maturity, need basic schooling and psychological counseling rather than imprisonment.”とconに使えます。

このように見て行くと、proはfinancial cost, justice, public safetyで、conはmental maturity, prison life, schoolingですが、mental maturityと合体しやすいので、キーアイデアを3つ作るならproの方が書きやすいでしょう。しかし、financial costsの情報が思いつかない場合は、conのアーギュメントを書き進めた方がいいでしょう。

ところで、このトピックに関連して、刑罰を科するのか? 刑罰の根拠については大きく分けて2つの考え方があります。一つは、応報刑論(the theory of retribution)で、刑罰は加害者に対する応報感情(仕返し)を満たすものでなければならないとする考え方で、もう一つは、教育刑論(the theory of reformative punishment)で、刑罰は加害者が二度と犯罪を起こさないように再教育をし、社会復帰をはかるようにするためのものでなければならないとする考え方です。どちらが刑罰として妥当なのか、さらに犯罪本人や社会全体にとってどちらが意義あるものなのかを両者の見解を記しておきましょう。

Rehabilitation(矯正派の主張)

  1. 矯正なき懲罰は、犯罪の根本原因解決に取り組むというよりはむしろ、一時的に対処するだけなので、高い再犯率という結果を招いてしまう。

Punishment without rehabilitation is merely dealing temporarily with the symptoms rather than addressing the root causes, resulting in a high recidivism rate.

*一般刑法犯については、成人の50%前後の再犯率(recidivism rate)に対して、少年は30%前後と2割近くも再犯率が低いことを鑑みれば、少年には、少年法の理念のとおり可塑性があり、確かに更正効果が高いとも言えます。

  1. 犯罪を減少させる最善の方法は、罪を犯した人の信念や行動を変えることであり、それらはカウンセリングを受けたり、地域社会の一員として迎えられることによって最も効果的に達成できる。

The best way to reduce crime is to change criminals’beliefs and behaviors, which is most effectively achieved by counseling and integration into the community.

Child crime is different from adult crime in that the offenders are, in most legal systems, not deemed to be fully conscious moral individuals. Children are not capable of making the same moral judgments as adults. That is why children are no allowed to vote, drive or watch certain movies. It is in recognition of the inability of children to form moral judgments that makes them have less subjective culpability and therefore worthy of lighter punishment. As such, the best way to deal with them is through rehabilitation rather than punishment.

The only long term solution to juvenile crime is reform of the child. Children are more susceptible to reform and the rates of recalcitrance for child offenders under counseling in the US is significantly lower than that of adult offenders. Even if some end up re-offending, it does mean that just under half of those who had been given the chance to return to normal life took up that chance and did not re-offend. Putting them in a prison, and even worst with adult offenders is likely to increase the chance of recalcitrance because they will be in the same environment as other offenders who will be a negative influence on them.

これに対して反対派の意見は

カウンセリングや精神科の治療、地域社会での奉仕活動などは犯罪者にとっては厳しい刑罰ではなく罪を犯しても大丈夫だと考えてしまう。

Counseling, psychiatric treatment, and community service are soft options for criminals that make them feel they can get away with crime.

The primary purpose of a justice is the prevention of crime and the protection of the innocent. It is to achieve these purposes that children should not be entitled to lenient punishment. The purposes of punishment are proportional retribution, deterrence and prevention of crime. Rehabilitation should at best be a secondary aim.

Punishing children more leniently than adults undermines the deterrent value of punishment. In 1998 in the US, 29% of all high school boys own guns. The message being sent out would be that if children committed crime that would be all right. In the state of Virginia in a 1996 survey for example, 41% of youth have at various times either been in a gang or associated with gang activities. Of this, 69% said they joined because friends were involved and 60% joined for ‘excitement’. This clearly shows that youth do not take crime seriously because of the belief that they will be leniently treated.

さて、英検1級に早く合格するには、何度も言っていますが、1次試験にパスする前から、2次試験対策を同時にすることです。それによってエッセイライティングのスコアが上がり、1次試験に合格しやすくなると同時に、1次試験にパスした時に、2次試験対策ができているからです。2次試験は、社会問題のトピック数が多く、その対策クラスによって80以上のトピックの対策ができ、それによってエッセイライティング問題のトピックをカバーすることができます。それをしなければ1次試験に合格しても、2次試験合格まで2~3回、つまり1年もかかってしまう可能性があります。ですから1次試験講座のかわりに2次試験講座を取って、1次試験対策をするという方法もあります。

リスニング問題分析と攻略法
全体的に、リアルライフ以外は比較的簡単で、Part 1で8~9点、Part 2で7~8点、Part 3で6点以上、Part 4で4点の計25~27点はトレーニングによって取っていただきたいものです。

Part 1リスニング問題分析と攻略法
全体的に比較的簡単で、英検1級に合格するには最低でも8点は取って欲しいものです。

1は選択肢①が時制トリックで間違った人が多いようですが、よくあるあやしい広告(misleading ads)の状況を見抜けばすぐに解けるでしょう。

2はA raise isn’t feasible.の後に、イディオムを用いてWe’re in the same boat.(一蓮托生)と言っているので簡単にわかるでしょう。

3は「looking forward to being a househusband(主夫になりたい)」から判断して解けるはずです。

4は「他のメンバーに批判されて~」という女性の発言に対して男性は「反対される(don’t share your opinion)なら関わるな」と言っているので簡単。

5は、needs a little time to get the money togetherとそれに対する肯定的なレスポンスから、それを裏返した答え2(Give her roommate more time.)が正解だとわかるでしょう。

6はtag along(一緒に行く)、up to my neck in paperwork(忙殺)、There’s no way around it.(仕方ない)、nail this sales pitch(この売り込みを成功させる)、let you off(解放する→来なくてもいい)、stop pushing it(無理するのはやめて)、unwind(羽を伸ばす)と語彙・イディオムは豊富だが、There’s no way around it.(仕方ない)だけわかれば解けるでしょう。

7は、洋画の恋愛物語に良く出てくる「別れのダイアローグ」シチュエーションで、move onは、”If he could give me a straight answer, I could move on.”(別れたいとはっきり言ってくれればあきらめもつく。)といったニュアンスで、move in different directions(住む世界が違うの)とか、洋画がドラマをエンジョイしながらInput!

8. この問題はちょっと迷った人がいるかも。”Looks like we have some decent candidate.”(いい候補がいたね)に対して否定的なレスポンスをする女性に対して、”you should adjust your expectations a little. I mean, you could wait forever for the perfect person.(期待しすぎてと一生かかっても見つからないよ)”という男性のレスからわかるでしょう。ところで”jump the gun(早まった行動をする)”という口語表現も覚えておいてほしい。

9. have it in for me(根に持っている)、put me in a bad light(具合の悪いことになる)、come across as the whiny new employee(泣き言を言う社員の印象を与える)、let it slide(そのままにしておく)などの口語表現が使われてくらっと来た人もいるかもしれませんが、要するに”You could always confront Susan directly to find out what her problem is.”から解けるでしょう。

10. この問題も簡単で、要するに「部屋を変えてほしいという要求がかなった」というメッセージをキャッチすればいいだけです。TOEIC必須のcomplimentary(無料)を知っていれば誤答4に引っかかることもないでしょう。

このように対話式リスニング問題で高得点を取るには、私の前著「スーパー口語」やNHKのビジネス英語や洋画などを通して、「口語表現」に強くなっておく必要があります。それにしてもこの対話式問題は皆さんの日常会話力をテストすると同時にUPさせる素晴らしいマテですね。こういった素晴らしい問題を作ってくれた英検協会には感謝感謝!

Part 2リスニング問題分析と攻略法
全体的にそれほど難しくはないので、英検1級に合格するにはどんなに悪くても7点は取って欲しいものです。Part 2は問題攻略力を鍛えると同時に、リスニング基礎体力は、CNNなどを用いた「時事英語リスニング力」と「TOEFLリスニング力」の両方を鍛えましょう。

passage 1は12がいい問題です。リスニング問題はbut以下の情報が重要で、Still以下とbut以下、nations have a right to exploit the seabed, but in many regions these coastal boundaries overlapとかGiven the potential for territorial disputesから、即座に「所有権でもめている」点をつかめれば解けるはずです。2と4の選択肢からは「紛争の原因」という共通事項が浮き彫りになるので、「先読み」が得意な人なら、そこに的を絞って聞くこともできます。

passage 2は2つとも比較的簡単ですが、最後まで聞いてから問題解くと内容を思い出せない人や、passageを聞きながら解答できない人は、選択肢を先読みできれば、13は、2,3,4の選択肢の共通事項から何かの「利点」、14はすべての選択肢の共通事項から「水事情改善の理由」とわかります。そこに絞って聞けば、”provided a constant supply of water for the cultivation of crops~”を”irrigation”で言い換えた4が正解だと分かるはずです。11と同じく14も「発見したもの」に関する問題でよく狙われるので注意しましょう。

passage 3も比較的聞き取りやすく簡単でしょう。両問題ともサマリー型で、第1段落は手段心理のサマリー、第2段落は「逆効果」を読み取れば解けるはずです。このようにpassage型問題では、「意見・コメント」に関する問題全体の3割と最も多いので注意しましょう。

passage 4はconcussion(脳しんとう)がわからなかった人は話に入りにくく、紛らわしい誤答を選んでしまったかもしれませんが、”body checking”に関する言及をキャッチすることを示唆する選択肢(17は「対策」、18は「障害」の共通事項)を読んでおけば何とか解けるでしょう。17はeducateの言いかえを見抜き、18はhigher speedsの行間を読む、問題全体の約3割を占める「因果」型の問題です。

passage 5も馴染み深いspace debrisの話で聞き取りやすく、19は選択肢1がdistractor(誤答)になっていますが多分引っかからないでしょう。20も選択肢から答えが見え見えですが聞いて解いても簡単です。

Part 2のリスニング問題も、CNNニュースやディスカバリー・ヒストリーチャネルのようなドキュメンタリー番組を聞くモチベーションを高めてくれる素晴らしいテストです。

Part 3リスニング問題分析と攻略法
全体的に難しく、リアルライフの苦手な人は3問も間違ってしまった人が多いようです。でも何とか3問正解してほしいものです。ではどうしてそんなに難しかったのか見て行きましょう。

21はトリッキーで、”You might consider increasing the total amount you have in your Sunstar account to qualify. In either case, once the consultations are under way, you’d then have to fill out a financial survey form.”とあるので、パラフレーズした選択肢4(Transfer money to your Sunstar account)を選ばないといけないのですが、前半の情報が間接的で印象が弱く、onceを聞き逃し、後半の情報が頭に残ってしまってしまうと1を選んでしまいます。こういった問題が苦手な人は、suggestiveな情報をキャッチする会話の訓練や、こういったダイアローグの状況にTOEICのリスニング問題を通じて慣れる必要があります。

22は簡単なので省きます。23は歯医者での会話で安い治療を探せばいいわけですが、たくさんの情報が述べられ、しかも解答部分である”The other option is for me to extract the tooth.からIn this case, this would do the least damage financially.”までの挿入が長くて、thisの内容を忘れてしまうとお手上げになってしまいます。攻略には、どんなに挿入が長くても、ポイントになっている主語を記憶しておく力、つまり他人の話を”listen(日本語の「聞く」ではない)”する「精神の強さ」を鍛えるトレーニングが必要です。

24は情報の「リバーサル」を用いた難問で紛らわしく、こういった会話の状況に慣れていない人はたくさんの情報で頭が混乱してしまったかもしれません。要するにポイントは、”Your manager should’ve submitted the BTS form~, but I don’t have it.~
you’ll need to get him to call me (ゲリムトゥコーミと音の弱形に聞き取りにくい)directly before I can get the reimbursement process started.”を聞き取って、下線部をcontactで言い換えた3を選べばいいわけです。これは海外での生活や仕事経験のない人は、TOEIC難問と洋画リスニングトレーニングを通じて鍛える必要があります。

25も紛らわしく、まずTOEIC必須語のmatinee(午後のパフォーマンス)を知っていないとなりません。それから指示文の”leave New York at noon this Thursday, only free in the evenings”から素早く判断して、放送を聞きながら次々と消去して行きます。するとまず1のBack to Basicsはsold outから消し、2のThe Persian Kingもmatineeなので消し、3のPipe DreamsはThursday and Friday eveningsで間に合わないので消します。それができれば4のNew Orleans BlueがTuesday and Thursday eveningsを聞かなくても解けます。こういった問題はTOEICのリスニング問題を楽に満点とれる”agility”と記憶力が入るので、それらをまずはそれらを通してトレーニングし、ダイアローグシチュエーションに慣れると同時にagilityと記憶力をUPさせましょう。リスニングトレーニングは本当にアンチエイジングになり、頭の柔らかさを養う「メンタルヨガ」です。

Part 3も実によくできた難問ばかりでいつも感心させられます。実際に英語圏で生活して行くうえで、1回だけ聞いてメッセージをキャッチする力を試すと同時に、その力を身につけるように駆り立ててくれるわけですから。受験料など安いものです。

Part 4リスニング問題分析と攻略法
これは簡単なので是非満点を取って欲しいものですが、27はTOEICによく見られる日本人の苦手な「時制のトリック」を使って引っかけようとしており、これにはまった人も多いようです。攻略法はPart 2と同じく、放送文と選択肢の両方から問題を予測し、重要な情報をキャッチすることです。

26は選択肢から何らかのファクターであることはわかりますが、2と3がポジティブなので多分いい事柄との見当がつきます。27は逆に選択肢からネガティブな、嫌な事柄であることがわかります。次にインタビューを聞いていくと、「ビジネスの成功の要因」について聞いているのですぐに答えの部分は予測できますね。そうすると26は、”if you can be comfortable with making mistakes and learning from them,~the people who are really successful have failed the most.”をサマリーした2が正解であるとすぐに選べます。

27は、”Is there anything that surprised you the most about entering the business world?”という最上級から狙われることを予測します。そうすると最初はつまらない守銭奴と思っていたのが、実はクリエイティブで顧客を喜ばすのが好きだったとわかったと「リバーサル」することに気が付くはずです。そうすると、TOEICなどで時制トリックにはまらないトレーニングしている人なら、”have become money-obsessed”のような現在完了(ずっとそうである)の選択肢を選ばないでしょう。

Part 4リスニング問題は、ビジネスピープルに関するインタビューで、内容が面白くためになり非常に楽しめました。皆さんも是非エンジョイしながら問題解けるように頑張りましょう。 Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る)

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