(速報) 2014年度第3回 英検準1級問題分析&攻略法

2014年度第3回の英検準1級問題は、まず語彙セクションについては受験者を悩ませるような難問が少しありましたが、全体的には平均的なレベルで、過去問やボキャビル対策を強化していれば、決して難しいとは言えない標準的な問題だったと言えるでしょう。例えば、正解となったtestament, enlist, erode などがやや難しかったようですが、語彙学習をしている人であれば、25問中21点〜23点以上のスコアは取れると思われるので、今回もしそれ以下であったなら今後は安定して少なくとも21問は正解できるよう是非ボキャビルに励んでほしいと思います。

読解問題に関しては、穴埋め、内容一致共に特に厄介な問題はなく、選択肢も紛らわしい引っ掛けがなかったので、18点は取って欲しいものです。レターライティングに関しても他のパートと同様、質問は平均的レベルで、過去問などで英作対策をしていれば、表現が浮かばずに困るようなことはなかったでしょう。合格を確実にするためには英作では安定して11点は取れるようになって欲しいものです。さて、では個別に問題を見ていくことにしましょう。

語彙問題分析

準1級試験の大きな特徴の1つは、語彙問題のレベルが高いことです。語彙レベルは、英検3級が1000語水準、準2級が2000~2500語水準、2級が3000~4500語水準とすると、準1級が4500~8000語水準、1級が8000~15000語水準となっており、準1級の語彙問題で高得点を取るには、まずはアクエアリーズ出版の「英検1級・準1級基礎レベル語彙(5000-8000語水準)」を用いて徹底的に基礎・応用固めをし、次にベレ出版の「英検準1級英単語大特訓」でさらにハイレベルなボキャビル特訓することをお薦めします。この2冊を網羅すれば、単語セクションのみならず、読解パート、アカデミックなリスニング(パート2)にも十分対応可能です。

今回のテストで正解となった英単語ですが、ベレ出版「英検準1級英単語大特訓」からでは、

1番 fundamental-時事英語としてIslamic fundamentalism イスラム原理主義 (radical groupsは「過激派グループ」)が派生語として掲載。

3番 bribe-bribe(voters, officials)有権者・役人に「賄賂する」が、7000語水準の動詞コロケーションとして掲載。時事英語にalleged bribery(収賄疑惑)の派生語がある。

4番 stingy-見出し語 miserly(6000語水準)の類語として掲載。他の類語にmeagerがある。

6番 sway-7000語水準の見出し語として、swayed by emotions[pressure, opinions](感情[圧力、意見]に影響される)が掲載。他の類語にswingがある。

8番 integral-integral part of (my life, our society)人生・社会の「絶対必要な」要素が、6000~7000語水準の形容詞コロケーションとして掲載。

9番 ambiguous-5000語水準の見出し語として、ambiguous statement [comment, expression](あいまいな声明[コメント])が掲載。他の類語にvague, unclearがある。

11番corrupt -語根コラムにcorrupt-co(一緒に)+rupt(破れる)→堕落した、汚職が掲載。時事英語にpolitical corruption(政治汚職)が派生語として紹介。

12番 remainder-5000語水準の見出し語として、for the remainder of the month(その月の残りの期間)、Thanks for the reminder.(お知らせありがとう)などが掲載。他の類語にrest, remainsがある。

17番 haven-refuge(6000語水準)の類語として掲載。他の類語にshelterがある。

19番 incentive-6000語水準の見出し語として、The performance-based pay system will become a strong incentive for sales staff to acquire new customers.(.成果主義の給与体系は、営業担当者が新しい顧客を獲得する強い励みになるだろう)が掲載。他の類語にstimulus, inducementがある。

21番 dedicate-2級レベルの見出し語として、dedicated to the research(研究に打ち込む)、dedication to public service(公職への献身)が掲載。他の類語にdevote, commitがある。

23番 fill in for-見出し語のcover forの言い換えとして掲載。他の言い換えに stand in for , take overがある。

など非常に多くが出題され、かつ正答となりました。特に、英検準1級の語彙問題の選択肢はコロケーション(語と語の自然な組み合わせ)を利用すれば簡単に解くことができますので、それを交えながら解説していきましょう。

1番は、key to your successful marriage(結婚のうまくいく秘訣)を聞かれ、trust is fundamental (信頼することが重要)が解ける3秒問題。

2番は、ヒントが2行目「昇進できるかどうかを判断するには、まだ時期が早過ぎる」で “Don’t be too optimistic.” (楽観的過ぎないで)が正解できる3秒問題。

3番は、全体の文脈「ある企業が大規模な建設契約を得るのに大統領顧問が700万ドルを受けた」をヒントにbribe(賄賂)が解ける7秒問題。

4番は、ヒントが he refused to give him …(自動販売機の飲み物を買うのに1ドルあげることを拒んだ)で、stingy(ケチ)が正解できる5秒問題。

5番は、violation of the dress code(服装規定の違反)のコロケーションで正解できる5秒問題。

6番は、地震と、many drivers lost control of their cars (多くのドラーバーが車のコントロールを失った)をヒントにthe bridge swayed so violently(橋が激しく揺れた)を正解できる7秒問題。

7番は難しく、市長が賞をあげたことをヒントにas a testament to her efforts(彼女の努力の証として)を選ぶ10秒問題。(ただし、他の選択肢はどれも基礎単語なので、消去法で何とか正解できた生徒さんもいました。)

8番は、文脈の「その会社社長は最新のテクノロジーを使うことは高くつくことを知っていた」、と「しかし新しい戦略にはそれが(カッコ)であると信じていた」により、integral(不可欠な)を正解できる7秒問題。

9番は、so they were unsure of exactly what it meant (だから、彼らはその意味をはっきりわからなかった)の文脈により、ambiguous(あいまいな)が正解できる5秒問題。

10番は、successful salespersonやgreat attitudeをヒントに、正解prime(最良の)が解ける5秒問題。

11番は正解できなかった生徒さんがたくさんいましたが、ヒントは2行目からの文脈「容疑者は2〜300ドルをあげて自分に都合の良い待遇をお金で買うことができる」をヒントにcorrupt(汚職まみれの)が解ける7秒問題。

12番、the remainder of the week(その週の残りの期間)のコロケーションで解ける3秒問題。

13番は、文脈の「学校の喫煙禁止ルールに違反して、厳しい罰を受けた」により、such disobedient(そのような反抗的な態度)が正解できる7秒問題。

14番は、「今年の予算」や、「財政支出計画のための、別の手段を見つけることを余儀なくされる」から、predicted shortfall(予測されている不足分)を正解できる7秒問題。

15番は難しかったですが、enlist the help(助けを求める)のコロケーションで解ける5秒問題。

16番は、sausagesとhamburgersをヒントにsizzle(ジュージュー焼ける)を選ぶ3秒問題。

17番はやや難しく、「警察は訪問者に所持品について注意するよう警告している」をヒントにa haven for thieves(泥棒の隠れ場所・温床)が解ける10秒問題。

18番はやや難しく、public confidence(国民の信頼)がeroded(損なわれた)、のコロケーションで解ける5秒問題。

19番は、furnished apartment(家具付きマンション)やbonuses(ボーナス)がヒントでincentives(励みとなるもの)が正解できる3秒問題。

20番は、resort to violence(暴力に訴える)のコロケーションで解ける5秒問題。

21番は、文脈の「都市部に緑が少ない」、「植林することの重要性を啓発する」などをヒントにdedicated to(〜に向けられた・捧げられた)が解ける7秒問題。

22番はscandal(スキャンダル)のコロケーションでblow over(消える・収まる)が正解できる3秒問題。

23番は、fill in for him(彼の代わりをする)のコロケーションで解ける3秒問題。

24番は、「コンピュータが苦手」、「新しいソフトウェアをダウンロードする間」がヒントでbear with me(我慢して私のそばに付く)が正解できる7秒問題。

25番はやや難しく、文脈の「大学時代の友人たちと会社を始めた」、「今では彼一人がその会社をコントロールしている」をヒントにbought out(買い上げる)が正解できる10秒問題。

 

読解問題分析

まず、穴埋め問題は全体の流れが掴めれば選択肢に悩ませられることなく、スムーズに解答できる問題がほとんどでした。26番は、ややトリッキーな問題で、空所部分は次の文章(It was clear that…) に直接つながるのではなく、その次のIn 1943, the British government… につながっていることにピンとくれば正解できましたが、It was clearの文章が、「アメリカ製輸送機で得た知識(経験)がイギリスを優位に立たせた」、と述べ一応はポジティブな意味なので、正解serious mistake(ネガティブ)との関係で混乱してしまった受験者も多かったようです。27番は第2パラグラフの文脈で、「広く豪華な設備を兼ね合わせたBristol Brabazon(旅客機)が登場したが、戦後の航空旅客者はaffordability(航空料金の手頃さ)やspeed(速さ)をover comfort(快適さより)重視し、もっとコンパクトでスピードの速い飛行機を求める」と述べていることがヒントで、Bristol Brabazonのような大型飛行機は正解commercial failureに結びつけることができます。28番は第3パラグラフ全体からの流れで、正解はまず「ポジティブ」なものだとわかるでしょう。この時点でネガティブな選択肢1番と3番は消去できます。文脈は、エンジニア達が飛行機の設計をもっと工夫するため、Bristol Brabazon用として造られた滑走路や設備などを利用したり、技術を他の航空機に適用させたりして、pave the way(道を開いていく)ことに貢献した、と述べていることをヒントにすれば正解が導けるでしょう。

29番は、まだこの第1パラフラフの時点では情報が少なく、選択肢を選びにくいので、こういう場合は特に最後に解きましょう。次の第2パラグラフや第3パラグラフの内容を考えると、2番sense of danger they feel がしっくり来ることがわかります。30番は、第2パラグラフの中のつながりがヒントで、前半の「スズメの子どもの数が40%減った理由として、行動の変化だとする」ことと、後半の「メスの、卵を産む数が少なくなる」、「(警戒心から)巣をより密集した草木に作る」がつながるので、選択肢2番Additionally(さらに)が正解できるでしょう。31番は、ヘラジカの例を挙げ、「predator(捕食動物)による数の減少だけでなく、predatorへの警戒心による行動パターンの変化も種の減少の原因となる」との文脈から選択肢1番を選ぶ問題でした。

次に、内容一致問題ですが、今回は平均的なレベルで選択肢を選びやすく難問はなかったように思われますが、生徒さんへのアンケートでは36番や37番、41番などが難しかったようでした。質問の32番から41番までをそれぞれ分析すると、32番(コメント)、33番(特長)、34番(特長)、35番(特長)、36番(サマリー)、37番(因果関係)、38番(因果関係)、39番(因果関係)、40番(コメント)、41番(因果関係)を聞かれており、まとめると因果関係が40%、特長が30%、コメント20%、サマリーが10%となります。

32番は、ベニスのクルーズ船への反対意見の選ぶ問題で、ヒントは第1パラグラフ上から4行目Critics say that …「船が大き過ぎて、些細な航路ミスでも、古い(歴史ある)建造物にぶつかって破損の原因となる」、の言い換えを探せば正解することは難しくなかったでしょう。

33番は第2パラグラフ上から5行目Nevertheless, cruise operators insist that …の文脈「船からの排気物は定められた基準以内のもので、さらに将来的には硫黄をあまり含まない燃料に変えて行く意向を示している」をヒントに正解を選びやすかったでしょう。選択肢3番はひっかけで、本文の意味は、「一番大きな船は一時間で、自動車で1万5000台分に相当する汚染を引き起こしている」で、「車による公害が船によるものより大きな問題となっている」は文脈に合わないため不正解です。

34番は選択肢が消去しやすく正解し易かったのではないでしょうか。ヒントは第3パラグラフの上から4行目Before the law went into effect, however, …の文脈で、「大型船の数と、重さを制限する2013年の法令は、船によって引き起こされる危険を裏付ける十分な証拠がなく一時的に保留状態になっている」ことから正解できるでしょう。

35番はwhite fatとbrown fatの違いを答えるといった、本文からのサマリーを答える問題で、ヒントは第2パラグラフ上から2行目です。When humans consume more calories than …「人間は、燃焼するよりも多くカロリーを消費する時に、white fatは増加する傾向にあり、体重は増えてしまう。その一方、brown fatは身体を温めるためにカロリーを燃焼させる」、や次の文章「ある動物は冬の寒さから身を守るためにbrown fatに頼っている」などの文脈が読み取れれば、それを言い換えた選択肢3番を正解できるでしょう。

36番は典型的な引っかけ問題で、選択肢1番のto examine tumorsがトリッキーでしたが、本文では直接「腫瘍を調べる」といった記述はなく、第3パラグラフ上から3行目can locate cancer(ガンを見つける)、 imaging technologyを導入した、とあるので正解にはできません。ここで注意!このようにバラバラの情報を「勝手に自分の頭の中で組み合わせて、想像する」ことは長文問題を解く上で最大の障害となります。実は、長文問題で一番重要なポイントが「想像した情報で解かない」ことなのです。しかしこの「技術」を身につけるのは実際にはかなり難しく、それには問題数をこなし、間違いながら一歩ずつ身につけるしか道がないのが実情です。問題で間違った時こそが、逆に自分の弱点を知る、そして克服していく良いチャンスです。正解できなかったからといって、そこで落ち込むのではなく、次のレベルアップに不可欠なプロセスとして前進していきましょう。まだあきらめてはいけませんよ!I believe in your potential!

37番はbrown fatと体重減との関係についてDr. Yu-Hua Tsengの見解を読み取る問題ですが、ヒントは第4パラグラフの前半部分「brown fatをマウスに使った実験で、マウスが肥満に強くなった」ことや、下から3行目For people who have become obese …からの文脈「食べ過ぎや運動不足で肥満になった人にとっては、brown fatのようなcellular intervention(細胞の治療処置)などよりも、change in lifestyle(生活スタイルの改善)が望ましい」と述べているので、これらを言い換えた選択肢4番が正解となります。

38番〜41番の問題は「エルギン・マーブル」と呼ばれる、かつてはギリシャのパルテノン神殿を飾った彫刻が1800年代初頭にイギリスに運ばれてしまった事に関する話ですが、まず38番は第1パラグラフの文脈(1970年のユネスコ条約を受けて、古代の遺品が元の国に戻されているが、条約前の文化財に関しては各国がどう扱うかは明記されてはいない)、と第2パラグラフ(エルギン・マーブルがイギリスに送られたのは1800年初頭)などの文脈から正解できます。

39番は、第2パラグラフの下から3行目The legality of Elgin’s actions …(エルギン・マーブルが1800年初めにイギリスに送られたが、その合法性がギリシャで議論となっている)がヒントで、それを言い換えた選択肢3番が正解です。

40番は大英博物館の見解を答える問題ですが、ヒントは第3パラグラフ5行目 Authorities there believe the ability to study …(ロンドンで行われる調査や研究は、ギリシャの古代遺産に対する国際的な意識をいっそう高め、博物館での展示はヨーロッパ美術の歴史的な比較をも可能にする)などを言い換えた選択肢4番です。このように、読解問題に強くなるには、とにかくパッセージは素早く読んで文脈を正確に理解し、いかに選択肢の「本文の言い換えを見抜けるか」「勝手に文脈を想像しない」ことが重要なポイントとなります。

レターライティング問題分析&攻略法

準1級のレターライティング問題満点ゲットの極意は次の6点です。

1. レターライティングのひな型を覚える。

2. 文法・語法ミスをしないように文法力・運用語彙力をUPさせる。

3. 質問に的確(ピンポイント)に答え、それ以外の事は書かない。

4. 論理的思考力を養う。

5. 社会問題に興味を持ち言語を問わず意見を言えるようにする。

6. 15分以内に書き上げて必ずミスがないかをチェックする。

今回の問題は前回と同様、日頃から社会問題に関心を持ち、新聞や各メディアを通して自分の意見をまとめておく練習を積み重ねていれば、それほどアイディアに困るようなことはなかったでしょう。

まず、1つ目の質問「両親が共働きの家族の数がこれからも増えていくかどうか」に対しては、まずは自分の考え(賛成か反対か)を述べて、その考えのサポートをしましょう。この質問の場合は、一般的には共働きの両親は増える傾向にあると思われますが、理由としては “Many parents bear high educational expenses for their children.” (多くの親は子供のための高い教育費の負担がある)、 “The cost of living has been increasing.” (生活費が高くなっている)、 “Many women want to keep their career after marriage or childbirth.” (多くの女性が、結婚後や出産後に仕事を続けたいと思っている)、などが挙げられています。

2つ目の質問「日本人はよく仕事の後に会社の付き合いをするが、どう思うか」については、賛成ならば、 “Socializing with co-workers will lead to a good relationship at work.” (職場での良い人間関係につながる)、 “It will solve relationship problems.” (人間関係の問題を解決する)など。反対意見としては、解答例にもありますが、 “It will take away time for workers to relax at home.” (家でリラックスする時間をなくす)などがあるでしょう。3つ目の質問「空手をすることは良い事だと思うか」については、賛成意見として “Karate can help you keep good health.(健康維持に良い)、 “People can use it as self-defense.” (自己防衛として使える)などが適切な解答でしょう。

ライティングセクションは、過去問などのトレーニングによって社会問題に関する「自分の意見」をストックしておく必要があります。すぐには伸びないセクションですので、日頃から英字新聞などを活用し簡単にでも自分の考えをまとめておきましょう。安定して11点は取れるように、是非頑張ってほしいものです。

 

カテゴリー: 未分類 パーマリンク